日頃からライフアゲインの活動を支えてくださり、ありがとうございます。
今回は、日々の食料支援や地域での居場所づくりなど、支援の最前線でご家庭やこどもたちに寄り添い続けているつきだテラス施設長の袋野(ふくろの)さんにインタビューを行いました。
物価高騰が続く社会状況や、現場で見えてくるご家庭の切実な課題、そして食料支援を通じて生まれる「希望」について、あたたかな想いとともに話していただきました。
1. 「してあげる」ではなく「お互いさま」——支援者と被支援者を繋ぐ橋渡しとして
——日頃、食料支援をお渡しする際に一番大切にされていることは何ですか?
(袋野)「あたたかい気持ちで対応すること」です。
食品を受け取りに来られる方の中には、無事に食品を手にして、安堵の思いから涙を流される方も少なくありません。そうした方々へ、私たちは常に、「この食品は地域の多くの方々が“応援したい”というあたたかい思いで寄付してくださったものである」という気持ちでお声掛けをしています 。
全国や地域のたくさんの方々からのご支援があってこそ、私たちの活動が成り立っている——そのことを現場の私たち自身が一番よく分かっているからこそ、支援者と被支援者という立場を超えてお互いさまという気持ちや姿勢を大切にしています。
私たちはあくまで、応援してくれる支援者の方々と、支援を必要としている方々を責任を持って繋ぐ「橋渡し役」です。「受け取る側も申し訳ないという気持ちにならず、気持ちよく受け取ってほしい」「応援してくれる人がたくさんいることを知って、少しでも勇気を持ってほしい」そう思いながら、常に「お互いさま」という姿勢でご家庭に向き合っています


2. 見えにくい「制度の狭間」と、こどもたちの健全な成長を脅かす食の課題
——最近のご家庭の状況や、現場で感じる課題について教えてください。
(袋野)物価はどんどん上がっているのに、給与や生活保護費は上がらないという厳しい現実があります。特に問題だと感じているのは、制度の「対象ギリギリで外れてしまう」ご家庭です。
共働きであっても収入が増えず、児童手当などの所得制限のラインギリギリで各種手当が受けられない世帯があります。こどもが多い世帯では、部活や習い事を諦めざるを得ない状況もあります。
また、食費を削らざるを得ない結果、日々の食事が炭水化物に偏り、圧倒的な野菜不足・栄養不足に陥ってしまうケースも目立ちます。成長期に必要な栄養を摂取できず、「とにかくお腹を満たすだけ」の食事になってしまうことは、こどもたちの健全な身体と心の成長に大きな影響を与えてしまいます。
さらに、精神的な不安や孤独、パートナーからのDV、孤立した育児などで心身ともに限界を抱えている保護者の方も増えています。「自分が一人でがんばらなきゃ」と追い詰められて精神を病んでしまったり、誰にも相談できずに孤立してしまう背景には、社会全体のゆとりのなさがあると感じています。

3. 「ここに来ればどうにかなる」——命を繋ぎ、自立へと歩み出す第一歩
——食料支援を受け取られた方からは、どのような反応がありますか?
(袋野)「こんなにたくさんもらっていいんですか?」「無料なんですか?」と驚かれ、食品を前にして涙を流して感謝される方がたくさんいらっしゃいます。
中には「明日からこどもにどうやって食べさせたらいいか分からない」とおっしゃる方もいました。そんな追い詰められた状況の中でライフアゲインに繋がり、実際に食品を手にしたことで「ここに来ればどうにかなると思えた」「話を聞いてもらえて救われた」と、おっしゃる方もいます。
食べ物があるという安心感を得て初めて、人は力を取り戻し、「相談に行ってみよう」「新しい資格や就労を目指そう」という前向きな一歩を踏み出すことができるのではないでしょうか。
一度の支援だけでは、ご家庭が抱えている問題の解決にはつながっていきません。2ヶ月、3ヶ月と継続して関わる中で、少しずつ関係性が築かれていき、悩み事を深く話してくださるようになります。ひとりでは整理するのが難しい困りごとも、誰かが一緒に関わってくれることで、できなかったことが少しずつできるようになっていく。そういう関わりが大切だと思います。


4. 食べ物は生きている人みんながつながる共通のもの——複雑な課題を適切な福祉制度・パートナーへ繋ぐ
——ライフアゲインの支援において、「食」にはどのような役割があるのでしょうか?
(袋野)食べ物の話は、誰とでもつながりやすく、会話のきっかけになります。食を通してお話しすることで、ご家庭が抱える「食べ物以外の困りごと」に気づくことができます。
例えば、親御さんが精神疾患を抱えている場合、お子さんがヤングケアラー(※本来大人が担うと想定されている家事や家族の世話、介護などを日常的に行っているこどもや若者のこと)になっているケースがあります。その場合は、訪問看護やヘルパーなどの制度が利用できるのではないかとお声掛けをし、適切な行政サービスへとお繋ぎしています。
孤立ゆえに知らないうちに詐欺や犯罪などに巻き込まれてしまったり、お子さんが少年院に入ることになったケースでは、更生を支える専門団体(保護司さんや更生保護施設、協力雇用主)といったパートナーと連携して支援を行います。
行政の窓口は制度上どうしても行政相談員が対応できない場合があります。その時に問題が生じてしまう場合がある。だからこそ、私たちが「食」をきっかけに出会い、適切な福祉や専門機関へと繋ぐ架け橋になることが必要なのです。


5. 「子は宝」——一緒に地域の未来を育てていきましょう
——最後に、メッセージをお願いします。
(袋野)もし、お子さんのことや毎日の食べ物のことで悩んでいる方がいたら、どうぞ一人で抱え込まずに、まずはライフアゲインへ、そして「つきだテラス」へ来てください。
そして、こうしたご家庭やこどもたちを支え続けるためには、企業・団体・地域の皆さまのあたたかいご協力が不可欠です。
「子は宝」です。こどもたちに、私たち大人が共に助け合い支え合う姿を見せながら育てていくことが未来につながると思っています。 誰ひとり取り残さず、見守り育てていける社会を目指して、ぜひ私たちと一緒に地域の未来を育んでいきましょう!
【お問い合わせ・ご相談窓口】
子育てや生活のお困りごと、食料支援に関するご相談は「つきだテラス」までお気軽にご連絡ください。
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