2026年7月28日に発生した熊本地震。被災地へ向けて迅速な支援が進められる中、交通網の乱れや配送ルートの分断といった不測の事態により、生協として届ける予定だった食品が現地へ行き渡らないという局面が生じました。
災害が発生すると、被災地で食品が不足する一方で、配送不能となった食品や外箱の破損等で販売できなくなった食品が発生してしまいます。私たちフードバンクには、現地で届けることが難しくなった食品を迅速に受け入れ、有効活用するという大切な役割があります。
今回は、エフコープや福岡県フードバンク協議会と連携することで、たくさんの食品を無駄にすることなく受け入れることができました。処分されるはずだった貴重な食品は、北九州市内各地の子ども食堂や福祉団体、個人の食料支援へと大切に手渡されていきました。
今回は、この「食のバトン」がどのように子ども食堂や地域へ届き、こどもたちの笑顔へと変わっていったのかをご紹介します。
■ スピード勝負の仕分けと手渡し——ボランティアと連携団体の協力
今回引き取った食品は、実に多岐にわたりました。
- 冷蔵品(賞味期限1〜2日の緊急品): ヨーグルト、豆腐、納豆、卵、ポテトサラダ等の惣菜など。
- 冷凍品: カット野菜(ニンジン・玉ねぎ)、アボカドスライス、アイス、うどん、フライドポテト、春巻きなど。
- 常温品・日用品: 各種食品、お菓子、トイレットペーパー、珍しいものでは花の球根など。
現場では、受け取った食品の「運搬」と「仕分け」をいかに素早く行うかが求められました。賞味期限が本日中・明日中という短期の冷蔵品も多く、まさに時間との戦いでした。この危機を救ってくれたのが、ボランティアの皆さまです。
ボランティアが仕分けを行い、連携団体へ迅速に一斉メールを配信。「本日中に受け取り可能な団体様へ」と呼びかけたところ、連携団体の皆さまも即座に応えて協力してくださいました。
冷凍品や常温品についても、調理して提供する子ども食堂向けなのか、個人のご家庭への配布向けなのか、対象者のニーズに合わせて細かく配分してお渡しする工夫を行いました。



■ 子ども食堂へ届いた「あたたかい食卓」と当日の様子
受け取った食品はすぐさま各現場で活用され、子ども食堂や福祉団体からは「フードパントリーを開催しました!」「子ども食堂で提供しました!」という報告メールもいただきました。
当日の子ども食堂では、届いたカット野菜や卵などを活用して手際よく温かいメニューが作られ、テーブルいっぱいに彩り豊かな料理が並びました。食後にはヨーグルトなどのデザートも振る舞われ、こどもたちは目を輝かせて大喜び。


連携団体の皆さまによるフードパントリーでは、新鮮な冷蔵食品が手際よくご家庭へと手渡されていきました。写真を届けてくださった現場からは、食品を受け取って安堵される保護者の方々の安らいだ表情や、「美味しいものを食べさせてあげられる」というあたたかな笑顔が溢れていたことが伝わってきます。


短い賞味期限という条件のなか、ボランティアや連携団体の皆さまと素早く協力し合えたからこそ、大切な食品を「こどもたちの美味しい笑顔」へと繋げることができた瞬間でした。
■最後に
災害という不測の事態において、配送の停滞や計画の変更は避けられない局面があります。しかし、そこで諦めることなく、フードバンク事業者、企業、ボランティア、そして地域の連携団体の協力によって、「食品ロス回避」と「地域への食料支援」という前向きな循環を生み出すことができました。
手元に届いた食品をおいしそうに頬張り、笑顔を浮かべるこどもたちの姿は、防災や物流の課題を超えて「食を大切に繋ぐこと」の意義を私たちに強く教えてくれます。
食品ロスを生まない取組は、平時だけでなく、いざという災害時や緊急時にこそその真価が問われます。熊本地震に関する対応はまだ終わっていません。被災された方々の健康を支えること、そして大切な食品を無駄にしないこと、そのためにフードバンクとしてできることを、これからも一つひとつていねいに取り組んでまいります。


